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勝手に「ハイパー冷やし中華」と呼ばせてもらおう

今からン十年前の暑い夏の盛りのことです。
幼少の私は家族とともに、ある観光地を訪れていました。
昼食のとき、私が食べたかったのはラーメンでしたが、
父は私にこう言いました。
夏は冷たいのがいい。冷やし中華にしなさい。
冷やし中華というのがどういうものだかよく分からなかったのですが、
仮にいやだったとしても、厳格な父の言うことには逆らえるわけもなく。

その、冷やし中華という食べ物が運ばれてきました。
とても酸っぱいにおいがしました。
そういうタレがかかっているようです。
もともと、お酢のツンとくるのが苦手な私。
そのツンとくるのがドバドバかかってるなんて、耐えられません。
麺だけでなくハムも錦糸玉子も、ツンに汚染されています。
結局、ほとんど口を付けることはありませんでした。
帰りの電車の中で、ツンが蘇ってきて、吐きました。

その後、父に対して非常に反抗的な態度を取ることになった私ですが、
このときの出来事が原因だったといっても過言ではありません。
そんなわけで、冷やし中華がずっと嫌いでした。
酸っぱさについては、小さい頃のかたくなに拒否という姿勢は薄れ、
抑え目の酸味であれば平気にはなってきたものの、
冷やし中華だけは、やはり。

さて、ラーメン屋における「冷やし」というと、その系統は2つに分かれます。
ひとつは、一般的に「冷やしラーメン」と呼ばれる
ラーメンと基本構成は同じだけど、麺もスープも冷たい、というもの。
もうひとつは、昔ながらの「冷やし中華」。
私の嫌いな、酸っぱいあれ。
前者であるならば問題はないが、後者ならば一気に地獄。
この違いは大きいです。

ネットで情報の流れているものはいいのですが、そういう情報もないなら、
あとはメニューにどう書いてあるかで見分けるしかない。
もろに「冷やし中華」ならば当然パス。「冷やしラーメン」ならばGO!
では「冷やし麺」だったら?このへんは微妙です。五分五分です。
そして今年も、冷やしの季節がやってきました。
私の職場の近くにあるラーメン店でも、冷やしを出し始めています。

ところで私は今、減量と禁酒に取り組んでいます。
あと1週間ほどあとに健康診断を控えているからで、
始めてからかれこれ1ヶ月になります。
ここ数年、中性脂肪の値が高めなので、こうでもしないと落ちないのです。
当然、ラーメンのほうも、脂ギトギトなどはもってのほか。
ボリュームが多いのも自粛。
それって、あそこのラーメンが食べられないってことですね。
ちょっと悲しいけど、我慢します。
そのかわり、あっさりめの味をいろいろ食べて、気を紛らわしたい。
(とはいえ、連食などはもってのほかですから、当然)
ということで、今年は普段食指の伸びない冷やしにもチャレンジです。
ようするに、酸っぱ系に当たらなければいいわけだし。

最初に赴いたのが、水道橋と御茶ノ水の間、
順天堂大の近くにある「らーめん登楽 ふみや」。
鶏ベースのあっさりしたラーメンを出す、知る人ぞ知る名店です。
ここで「冷やしそば」というメニューが登場しました。
「そば」という表記であれば、あれじゃないでしょう。。。
躊躇せず注文します。
で、出てきたのは・・・冷やし中華でした。
し、しまった。どうしよう。
しかし、見た目はあの冷やし中華とは微妙に異なります。
大きめにちぎられたレタスはサラダ的でもある。
そこにほぐしチャーシュー、にんじんときゅうりの短冊切りなど
かかっているタレは辛味を効かせた中華ドレッシング風。やはりサラダ的か。
が、酸っぱさについては強く感じることはなく、
あくまで脇役としてそこにいる感じ。まったくでしゃばっていない。
この程度なら十分OKです。
ラーメンのあっさり具合と比べるとやや強めの味付けで、
ちょっと意外な感じがしますが、これはこれでなかなかいい。
冷やし中華の範疇にあることは間違いないけど、頭ひとつ超えています。
勝手に「ハイパー冷やし中華」と呼ばせてもらおう。

続いて(別に連食したわけではなく、別の日なので念のため)、
春日駅近くに店を構える「信濃神麺 烈士洵名」へ。
こちらでも、冷やしが始まっていました。
特製冷やし麺 800円。
このネーミングは怪しいほうです。
が、この店なら仮にあれだとしても、多分大丈夫だろうと。
注文すると果たして、冷やし中華でした。
しかし、こちらの面構えもなかなか。
細長い平皿に具が美しく盛られています。
トマト、なす、小松菜、ささみ、エリンギメンマ、岩のり、煮卵・・・
中でも特になすの煮びたしがいい。
そして、こちらのタレも酸っぱさ抑えめで、おいしく食べられます。
こちらも勝手に命名「ハイパー冷やし中華」の名にふさわしい一品。

つまり、もともとかなりの実力のある店の手にかかれば、冷やし中華も
私の記憶の暗部に存在する、酸っぱいだけの冷やし中華とは一線を画す
実にハイパーな出来になるということですな。
この歳になっていきなり世界が広がったような。ちょっとうれしい。
ただ、正直なこと言えば、ラーメンはたとえ夏でも熱いのを啜るのが好きなので、
ガンガン冷やしを食べる、ということもないのですが。
ハイパーなはずれもないとは限らないし。
ここでまた、あの夏の日の再現はきついです。
できれば、楽しい夏を過ごしたいので。

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